決勝戦 (黒ヒゲ危機一髪)
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それぞれの欲しいモノを賭けた熾烈で醜い争い……。第二回戦も終了し、ついにたった一人……いや二人が残った。
死屍累々の山を踏み台にして見上げた先には、そのもう一人TAKANORIが悠然と勝ち残った林を見下ろしていた。
『……やっぱコレ、ずるくありませんか?』と釈然としない顔でヨコタを見る林。
『なにがですか?』と表情一つ崩さずに聞き返すヨコタ。
『だって、去年の優勝者っていうだけで、いきなり決勝シードですよ? 彼は私に勝ったらもう優勝じゃないですか』
林は去年、同じく対TAKANORI戦のカードを味わっており、その時の遺恨や屈辱が思い出されるのだろう。この決勝戦には他の参加者が味わうよりも大きな嫌悪感があるようだ。
とはいえ、林の言うことが彼の思い過ごしなどではなく、他のスタッフも感じていたことだった。自らが欲しいモノを手に入れるためには、仲間を倒して倒して倒してようやく到達出来るというのに、TAKANORIはというと、勝ち上がってきたものを待っていればいいだけだったからだ。
『──そうは言いますが、TAKANORIさんだって一度負けてしまえばそれっきり。条件は同じですよ』
ヨコタは林の落ち着きのない顔を見ながらくすりと笑った。
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『さて、決勝はクロヒゲで闘って頂きます。樽に一本一本剣を刺していき、彼を飛ばした方が負けというあのゲームです』
しかし、このバトルにおけるクロヒゲゲームはそれだけでは終わらなかった。
去年のしゃゆりvsイカハタ戦で好評を博した追加ルールを今回も採用することになっていたのだった。
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その追加ルールとは……
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1〜3のトランプを3枚ずつ用意し、プレイヤーは剣を刺す前にカードを 1枚引かなければならない。そして、トランプに描かれたマークの数だけ 剣を刺さなければならない。
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『ま、ダメな時は最初の一本でダメなので、あまり気にしないでいきましょう』と慰めにもならない言葉を言った。
『……あ、さすがに一本目でクロヒゲが飛び出しちゃった場合にはさすがに最初っからやり直しましょう。いや、3ターンまではやり直し。そんなに早く決着つけられてはつまんないですからね』
註:勝負に不正はしていません(笑)。ヨコタが言うと冗談には聞こえませんが。
『さて、まずは勝負の前に意気込みを聞いておきましょうか。せっかくの決勝ですからね』
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●這い上がってきた林による決勝前のコメント
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林
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思い起こせば前回の戦い……私の大切なものを奪い去っていったのもTAKANORIさんでした。同じ人間に二度も敗れるわけにはいきませんし、何より前回の恨みを晴らす絶好の機会。今回踏み台にしてきた7人分に、前回の分も合わせた8人分の怨嗟を呪の力に変えて挑むことにしましょう。申し訳ないですが、この勝負、勝ちに行かせてもらいます。
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●楽々と決勝にやってきたTAKANORIのコメント
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TAKANORI
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前回の覇者と言う事で、最終戦のみ出場のラスボスとして参加! ぶっちゃけ、俺にかけておけば50%で優勝者が当たるじゃん? とか思ったけど、今回は勝ったら欲しいものが貰えると言う事だし黙っておこう。そして対戦者は林君か!
相手にとって不足なし、返り討ちにしてくれるわ!! クロヒゲって、運のみだからギャンブラーの恐ろしさを見せてやるー
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『両者白熱したところで、最初はジャンケンで先攻後攻を決めてもらいましょうか』
ついに始まった決勝。まずはジャンケンをすると、さすがにここまで勝ち残ってきた運なのか実力なのか、林が勝つ。運も実力の内だとニヤリとする林。
彼が選んだのはもちろん『後攻でお願いします』。戦略もなにもない、運だけのこのゲームはいかに刺す本数を減らせるかで有利不利が決定するのだ。
先攻となったTAKANORIは、まずはトランプを引く。出た目はハートのA。
つまり、1本だけしか刺さなくてもよいというわけだ。
『1本だけっていっても緊張するんだよねぇ。もし、最初の一本でドカンといったりしたら……』
緊張すると人間は無口になるか、やたらと口数が増える。TAKANORIはどうやら口数が増えるタイプらしい。
栄えある1本目は……、セーフ。地雷処理班のごとく、大きく息をつき安堵の表情を浮かべるTAKANORI。
続く林は、ダイヤの2を引き、2本の剣を刺すことに。1本目はなんなくスルー。
しかし、2本目で林の表情に戦慄が走ることになる。
──カチリ。『……今、なにか引っかかった音がしたんですが』剣を1/3刺した時点で妙な抵抗があったという。
『潔くいっちゃってください、ブッスリとね』やたらと楽しそうなヨコタに流されるように、意を決して奥まで剣を差し込む林。しかし、クロヒゲは飛び出さず。
『……なんだ、つまんねぇの』とぼそりと呟くギャラリー多数。中には既に負けた人間も混ざっており、その言葉にはどこか棘が読み取れる。勝負に勝つということはそういうことなのだ……。
2ターン目、TAKANORIは運悪くスペードの3を引く。が、しかし持ち前のギャンブラー魂で、躊躇することなくさくさくと刺し、なんなくクリア。彼は運の引き込み方を知っているのかもしれない。
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『張りつめた空気の漂うこの雰囲気はさすがに決勝といったところでしょうか。TAKANORIさんも林さんもご褒美まで後一歩ですよ。頑張って下さい』
と、最新のデジタルトイと悪魔絵師の画集を見せびらかしながら勝負を煽るヨコタ。ギャラリーから『よくよく考えたら、TAKANORIさんって修羅には関わってないよな。なのにご褒美って……』と呟く声がする。しかし、そういう理不尽さも含めて修羅なのだとヨコタがよくわからないたしなめ方をする。
何人もの屍を重ねてきた熾烈で醜い争いも、ついに幕が下ろされる!
はたしてどちらがご褒美を手にすることが出来るのか。豪華賞品を手にすることができるユーザーは誰なのか。
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●後半・ついに優勝者が決まる!
TAKANORIの剛胆な攻めにたじろぎながら、林がカードを引く。ダイヤのエースが出た。
たじろぎながらも負けられない林は、堂々と1本の剣を刺す。クロヒゲは微動だにしない。
そして、3ターン目。TAKANORIの番。カードはスペードのA。剣を1本取り、少なくなってきた穴を慎重に選ぶ。
『そういえば、これでAが3枚出たことになりますね』ヨコタがやけに嬉しそうに笑った。
『どういうことだろう』と顔を見あわせるギャラリー。
『つまり、残るトランプは2か3しかないってことですよ。1本だけ刺してハイ次の方なんて甘いことは許されないことになります』
後攻、林。ここで初めて先攻にしておけばよかったと後悔する。後攻ならば、確かにクロヒゲを飛ばしてしまう確率は減ってしまう。が、逆にトランプを引く場合には、常に先攻より少ない枚数の中から選ばなくてはならないのだ。
選択肢が少ない分、先攻に比べると不利になってしまう。
残り2か3しかないトランプを見つめながら、どれにしようかと指を迷わせる林。樽に残された穴は随分少なくなっている。確率的に、そろそろヤバイ。
林のみならず、TAKANORIもそれは感じていた。
林がカードを引く。『お、運がいいですねぇ。ハートの3ですよ』林、さっそく窮地に立たされる。『まあ、何本剣を刺そうと、当たりに刺さなければいいんですから、心配することはありませんよ』確かにヨコタの言うことは正しい。
正しいが……。
林は運がよかったらしい。
3本のうち、1本目を刺した瞬間……。
──バシュッ! 濃いヒゲにアイパッチをしたニクイあんちきしょうは、クルクルと回転しながら宙を舞い、カツーンと虚しい音を立ててテーブルの上に転がった。彼は強く身体を打ちつけながらも笑みを絶やすことはなかった。
『まあ、何本剣を刺そうと、最初に当たりを出せば負けですからね。少なくともカードを引く運が悪くて負けた訳じゃないんですからよかったですね』
『よかったですね、じゃないですよ!』ここまで来て……仲間を屠り、部下をないがしろにしてきた林はここまで来て、敗北を喫してしまった。
『てことは、また俺が勝ち!?』半ば漁夫の利とも言える状況で優勝をかっさらったTAKANORIが満面の笑みを浮かべる。
『おめでとうございます、TAKANORIさん! 見事、ご褒美はあなたのものとなりました!』
『なんのご褒美かわからないけど、ありがとう、ありがとう、ありがとう!』
こうしてTAKANORIはご褒美であるデジタルトイを手に入れた。
ついに欲望にまみれた醜くも熾烈を極めた争いはここに終焉を迎えた。
『では、勝者と敗者にコメントをお願いしましょう』
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●勝者・TAKANORI
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TAKANORI
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いぇー! 勝ったでぇ〜。周りからは『空気読め』『ここまで勝ち上がってきたのに最後にかっさらうのか』という雰囲気が漂ってましたが、そんなことは知りません。全ては運の神様の言うとおりなのです。というわけで箱庭おもちゃGET!!
神経衰弱とかだったら苦手だったけど、運のみ勝負だったので勝てた気がします。
そういえば前回も林君と対戦して大切なお札辞典の本を奪ってたっけ……
呪い返しのお札って載ってたかな。
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●すべての修羅を引き継ぐ敗者・林
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林
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……また、負けた。怨嗟の力が足りなかったとでも……? 斯くなる上は山篭りでもして業を磨くしか……いや、いっそ丑の刻に……。
おめでとうございます、TAKANORIさん。呪いは立証が難しいので、罪になり難いらしいですよ。え、勿論、そんなことしませんけどね、いや
だなぁ。
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数々の伝説を作り上げながら、終りを告げたスタッフ同士のバトル。参加者の胸に去来するは、虚しさか遺恨か、はたまた愛か。
『僕はイベントが盛り上がり、ユーザーの皆さんが舞−HiME運命の系統樹・修羅に興味を持って頂ければそれでいいんです。皆さんが頑張った分、ユーザーの皆さんが楽しんで頂ければ、それでいいんです。豪華賞品が当たった方はきっとこれが忘れられない作品になることでしょう。スタッフが受け取るはずだったご褒美も、当たった皆さんにソフトとともに大事にして頂ければそれがなにより一番じゃないですか。そうでしょう?』
キラキラと少年のように瞳を輝かせながら、殊勝な思いを口にするヨコタ。
そんな彼の姿を見ながら、一同に感動の涙が押し寄せる……。
『あれ、泣いてるんですか?』と瞳を潤ませながらヨコタが笑う。
別に感動して泣いてるんじゃねえよ、お前のせいだよ……! と、参加したスタッフが思った……かどうかは定かではない。
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総合戦績
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TAKANORI
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優勝
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林
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決勝戦敗退
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秋蕎麦
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二回戦敗退
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二回戦敗退
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しゃゆり
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二回戦敗退
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イカハタ
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一回戦敗退
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加藤アスケ
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一回戦敗退
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ジョニー
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一回戦敗退
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鳴海
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一回戦敗退
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優勝者:TAKANORIに投票いただいた皆様へ
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見事正解された方全員に特製描き下ろし壁紙データを差し上げます。おめでとうございます! |
正解者用壁紙 詳細
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データサイズ:149 KB |
データ配信期間:2006年6月30日〜7月20日まで |
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弊社より、壁紙ダウンロードのURLを記載したメールをお送りさせていただきますので、お手数ですが期間内にダウンロードをお願い致します。
尚、フリーメールなどのメーラーの設定によっては、迷惑メールに分類されてしまうことがありますので、ご注意ください。 |
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スタッフ(敗者)の「欲しいもの」当選者発表!
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ユーザープレゼントとなりましたスタッフの「欲しいもの」は以下の方々が当選いたしました。
※投票の際に頂いたハンドルネームを掲載しております。 |
イカハタの
欲しいもの
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秋蕎麦の
欲しいもの
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まりの
欲しいもの
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ジョニーの
欲しいもの
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マグカップ

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ジュゴン型抱き枕

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特撮映画のDVD

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ZIPPOライター

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【当選者】
シラユリ 様
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【当選者】
まこぴー 様
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【当選者】
凛の介 様
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【当選者】
レノ=レウァール 様
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加藤アスケの
欲しいもの
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しゃゆりの
欲しいもの
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鳴海の
欲しいもの
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林の
欲しいもの
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ゲームソフト

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TV番組のDVD

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魚沼産高級米5kg

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悪魔絵師画集

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【当選者】
かごゴリラ 様
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【当選者】
レグノ 様
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【当選者】
ししゃも 様
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【当選者】
鋼機 様
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おめでとうございます〜!!
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